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ガーナのヒップホップサブジャンル”Hiplife”

 西アフリカはガーナで発展したダンスミュージックにHigh Life(ハイライフ)というジャンルがある。歴史は古く、起源は19世紀の大西洋の船乗りに愛されたPalm Wine Musicにさかのぼる。イギリス人らが持ち込んだギターなどの西洋楽器と、地元の伝統楽器を用い、ヤシ酒を提供する港町の庶民的バーから人気を博していった。1920年代には、フォックストロットやカリプソなどの影響をうけ、高級クラブに集まる着飾った富裕層のたしなみとなる。High Lifeの名はこの富裕層に由来する。1930年代にはガーナから西アフリカ諸国へ伝搬。

1940年代にオーケストラスタイルのダンスバンドと小編成のギターバンドとほぼスタイルが確立され、やがてジャズの影響を受け、今日われわれがイメージするHigh Lifeのカタチ(ギターリフにバックコーラスのリフレイン)となっていく。いわばガーナにおける歌謡曲のテンプレとなった。


政治的混乱、経済的混乱もあり、1960年代、西ドイツのハンブルグへ出稼ぎに出るガーナ人が増加した。当然現地では同郷のコミュニティができるわけだが、そこでのHigh Lifeバンドに変化が。電子楽器の台頭とともに、当時ヨーロッパでも流行していたファンク、ディスコと融合した”Burger Life”というスタイルが確立していく。そして1970年代後半からのヒップホップムーブメントが留学生、ビジネスマンといったアーリーアダプターによってガーナにもたらされる。ここまでがHiplife前夜。

1980年代終わりから何人かの有志によりヒップホップシーンを形成されていったが、しょせんアメリカの物真似に過ぎなかった。そこに登場したのハイライフ、レゲエ、ダンスホールのエッセンスを取り入れたアングラ人士。トドメはThe Godfather of HiplifeといわれるReggie Rockstoneである。前述の色々混ざったリズムに現地語のTwi語や英語をラップに乗せるスタイルが確立された。


現在では、完全にダンスホール、R&B風なものまでHiplifeとして流通している。わが国でJ-Popとひとくくりにされている様子に近いものがある。